光トラップについて
光トラップその1:光放射圧
光トラップでは集光されたレーザー光を利用することで溶液中の微粒子を2次元もしくは3次元的に捕捉することができる(図1参照)。これは、入射光によって微粒子に光放射圧が作用するために起こる現象である。光放射圧は微粒子を通過する光が屈折して運動量が変化するために生じる。図2は強く集光したビームをもちいた場合に作用する放射圧(青線)を表している。(a),(b),(c)はそれぞれ焦点位置に対して下、上、右側に微粒子が存在するケースである。光放射圧が復元力として作用しており、微粒子の3次元的な補足が可能であることが分かる。
光トラップその2:光圧ポテンシャル
光放射圧が作用することで物質にポテンシャルが誘起される(光圧ポテンシャル)。図3に単一ガウシアンビームによって形成される光圧ポテンシャルを示す。Xをビームの中心からの距離、Uをポテンシャル値とした。
光トラップは液晶など、空間光変調器によって形成された2次元的な光パターンを用いて行うことも可能である。自由度の高い2次元光パターンを用いることで、複数粒子の並列操作、および新たな機能発現が可能になる。例えば、図4a, bに示す非対称二重井戸型光パターンをもちいると、図5に示すような光圧ポテンシャルが形成される。これにより、複数の微粒子をライン上に配列させることや、サイズ別に仕分けするが可能となる(微粒子ソーティング)。我々は、さまざまな光パターンをもちいて複数の微粒子を自由自在に操作することを目的として日々実験に取り組んでいる。
>
光放射圧を用いた微粒子ソーティング