擬似位相整合素子を用いた群速度整合フェムト秒第2高調波発生
高速分光を初めとする様々なフェムト秒レーザー応用には、波長変換技術のさらなる進化が不可欠である。当研究室は、擬似位相整合を用いた新しいフェムト秒第2高調波発生法を提案し、非線形光学結晶内における群速度不整合の問題を解決した。図1はその模式図で、パルス面を傾斜させた光波が、第2高調波と空間ウォークオフをともなうことで、実効的に群速度整合を満たすというものである。図2は、当研究室の作製した周期分極反転ニオブ酸リチウム素子で、これを用いたフェムト秒第2高調波発生実験では、中心波長0.78ミクロン、パルス幅100フェムト秒の第2高調波パルスを変換効率50パーセントで得ることに成功した。図3に、第2高調波パルスの強度自己相関測定の結果を示す。
図1:当研究室の提案した群速度整合法の模式図
図2:当研究室で作製した周期分極反転ニオブ酸
リチウム素子の表面顕微鏡写真
図3:第2高調波パルスの強度自己相関測定結果
図4:第2高調波発生効率の入力パワー依存性
- S. Ashihara, T. Shimura, and K. Kuroda
Group-velocity matched second-harmonic generation in tilted quasi-phase-matched gratings
J. Opt. Soc. Am. B 20, 853 - 856 (2003)
- Nobuhide Fujioka, Satoshi Ashihara, Hidenobu Ono, Tsutomu Shimura, and Kazuo Kuroda
Group-velocity-matched noncollinearsecond-harmonic generation in quasi-phase matching
J. Opt. Soc. Am. B vol.22, no.6, 1283-1289 (2005).