フェリ磁性体のスピン波制御
近年、スピン波を誘起・制御する技術が盛んに研究されている。我々は、新しいスピン波誘起の手法として、逆ファラデー効果を用いたスピン制御に注目した。この手法によって誘起されるスピン波モードを特定するために、円偏光パルス照射場所から二次元的に伝播するスピン波の位相を時間空間分解測定した。実験結果は、静磁波の分散関係を用いた数値計算によってよく再現することができ、誘起されるスピン波の波数分布が光パルスのスポット形状で決まることが明らかになった。
更に我々は、円偏光ではなく直線偏光のパルスでスピン波を誘起することによりスピン波初期位相の連続的な制御が可能になることを示した。直線偏光パルスを照射した場所でのスピン歳差運動を時間分解測定し、その位相及び振幅の偏光依存性を測定した。実験結果は、逆コットン・ムートン効果と磁気異方性変調により説明できることが明らかになった。
図1：円偏光パルスで誘起したガーネットのスピン波伝播の測定配置
図2：直線偏光パルスで励起されたガーネットのスピン歳差運動の偏光依存性
- T. Satoh, Y. Terui, R. Moriya, B. A. Ivanov, K. Ando, E. Saitoh, T. Shimura, and K. Kuroda
Directional control of spin wave emission by spatially shaped light
Nature Photon. 6, 662-666 (2012)
(See also Nature Photon. 6, 643-645 (2012) and Nature Photon. 6, 706 (2012))