光放射圧を用いた微粒子ソーティング
光トラップでは、強く集光したレーザー光で微粒子を高光強度位置付近に補足することができる。我々は2次元的な光パターンを用いた光トラップ技術による微粒子ソーティングシステムの開発を行っている。このタイプのソーティングシステムは、ソーティングに加えて非破壊・非接触な微粒子操作が可能という特徴を持つ。また、コンピューター制御された空間光変調器によって光パターンを形成するため、加工が不必要で再利用可能な ”Lab-on-a-Chip-Device” としての応用が考えられる。これまでに、2タイプのソーティング方式を提案しており、以下に概要を示す。
二重井戸型光圧ポテンシャルを用いた微粒子ソーティング
強度分布が非対称なダブルウェル構造となる光パターンを用いるソーティング方式である(図1a, b参照)。これにより、微粒子には2つの安定サイトを持つ非対称ダブルウェル構造の光圧ポテンシャルが形成される(図2)。ポテンシャル構造が非対称なため微粒子を準安定サイトに導入すると、ブラウン運動により安定サイトへの確立的な移動が起こる。本方式での準安定サイト−安定サイト間ポテンシャルバリア障壁値DEは粒子サイズに依存しており、それによって平均移動時間もサイズによって異なる。この現象を利用してソーティングが行われる。ポリスチレン微粒子を用いた場合のソーティング実験の結果を
動画に示す。全ての粒子は初期状態として準安定サイト上に捕捉されているが、操作開始十数秒経過したのちに、小さい粒子が選択的に隣のサイトに移動している。これは、サイズによる微粒子のソーティングを示している。
- Y. Hayashi, S. Ashihara, T. Shimura, and K. Kuroda
Particle sorting using optically induced asymmetric double-well potential
Optics Comm. 281, 3792 - 3798 (2008)
- Y. Hayashi, S. Ashihara, T. Shimura, and K. Kuroda
Simultaneous separation of polydisperse particles using an asymmetric nonperiodic optical stripe pattern
Appl. Opt. 48, 1543-1552 (2009)